ヘルニアの原因とおすすめの対処法

椎間板ヘルニア

現代人の多くが悩まされる「ヘルニア」。特に腰椎椎間板ヘルニアは、デスクワークや長時間のスマートフォン操作など、日々の何気ない習慣が引き金になるケースが多くあります。一度発症すると痛みやしびれが強く、生活の質を大きく下げてしまうため、原因を理解し、早めに適切な対処を行うことが大切です。

ヘルニアはなぜ起こるのか

ヘルニアとは、もともと「飛び出す」という意味を持つ言葉であり、背骨は椎骨という骨が積み重なってできており、その間に「椎間板」と呼ばれるクッションのような軟骨組織があります。この椎間板が加齢や姿勢の崩れ、繰り返す負担によって変性し、内部の髄核が外に飛び出してしまう状態が「椎間板ヘルニア」です。

 

主な原因は以下のようなものが挙げられます。

 

1：姿勢の乱れ：猫背（不良姿勢）や長時間の前かがみ姿勢は腰椎に大きな負担をかけ、椎間板を圧迫します。

2：筋力の低下：特に体幹筋（インナーマッスル）が弱まると、背骨を支える力が不足し、椎間板に過剰なストレスがかかります。

3：加齢による変性：椎間板の水分量は加齢とともに減少し、弾力が失われていきます。これにより小さな衝撃でも損傷しやすくなります。

4：急な動作や重労働：重い荷物を中腰で持ち上げたり、体をひねったりする動作が引き金となることもあります。

症状と放置のリスク

腰椎椎間板ヘルニアでは、腰の痛みだけでなく、坐骨神経に沿ったしびれや痛みが現れるのが特徴です。お尻から太もも、ふくらはぎの外側、足先にかけて放散痛を感じる場合もあります。軽症であれば体内で吸収され自然に回復することもありますが、同じ原因を繰り返してしまうと、神経症状が長期化したり、筋力低下を招いたり最悪の場合排尿障害をひきおこすこともあります。

おすすめ対処法

ヘルニアの治療は、症状の程度によって段階的に進めることが基本です。手術が必要になるケースは一部であり、多くの場合は保存療法（手術を行わない治療）で改善が見込めます。

 

1：姿勢と生活の見直し

急性期は無理をせず、腰への負担を減らすことが重要です。ただし、過度な安静はかえって筋力を低下や関節の不安定性をもたらすため、痛みが落ち着いたらできる範囲で軽い体操やウォーキングを取り入れましょう。

 

2：体幹トレーニング

腰を支える深層筋（腹横筋・多裂筋）を鍛えることで、再発予防につながります。腹式呼吸を意識しながら行う簡単な体幹トレーニングや、ピラティス、ヨガなどもおすすめです。

 

3：アイシング療法とストレッチ

アイシングで血流を促進することで筋肉のこわばりが和らぎ、神経への圧迫を軽減できます。氷を活用しながら、腰やお尻の冷却を無理のない範囲でストレッチや体操を行いましょう。

 

4：専門的な治療・リハビリ

姿勢や骨盤のバランスを整える施術を受けることも有効です。痛みの根本にある体の歪みを改善することで、再発しにくい身体づくりができます。

 

 

ヘルニアは「突然のトラブル」のように思われがちですが、実際には日々の姿勢や生活習慣の積み重ねが原因となっているケースがほとんどです。デスクワーク中心の生活の中でも、背筋を伸ばして座る、適度に立ち上がって体を動かす、体幹を意識した動作を心がけることで、ヘルニアの予防や再発防止につながります。

 

痛みがある時は「我慢しない」ことが何よりも大切です。早めに専門家へ相談し、自分の身体と向き合うことが、健康な腰を取り戻す第一歩となります。